神戸市協会技術委員会改革

2004年度から指導者の資格制度が変更になる。日本サッカー協会公認指導者資格をお持ちの方はサッカー協会から詳しい案内・届出用紙などが送られてくるためご存知であろう。しかしながら資格をお持ちでない方や、指導者以外の方法でサッカーを楽しんでおられる方々は、サッカーの指導者の仕組みが変更になることなど知る機会がないのではないか?ましてや神戸市サッカー協会が、この2004年度の年度替りから4種指導者に向けていくつかの改革を実行することは知る由もないのではないだろうか?

今回はそういったお話をしようと思う。

JFA指導者養成事業改革

日本サッカー協会の指導者制度は近年急速に整備され、内容も充実し、実際に資格を取得される方が急増している。2003年度11月現在で公認S級166人、公認A級100人、公認B級478人、公認C級1,183人、地域スポーツ指導員C級9,959人、公認準指導員8,981人、公認少年少女サッカー指導員18,228人の登録となっている。しかしこれに満足することなく、こういった指導者達と、将来の方向性を共有しベクトルを合わせること、指導者たちの活動の場を広げること、再教育の機会充実などの環境整備を推し進めることを目標に日本サッカー協会は2004年度より大改革に着手したのである。

大きな改革のポイントはライセンス制度の変更、指導者登録制度の導入(コンピューターで登録管理し登録の簡略化、情報の共有・交換の提供)、リフレッシュ研修会のポイント制導入、GKコーチングコースの開催、2015年以降の日本サッカー界充実に向けてのキッズリーダーコースの開催である。JFAは世界のトップ10入りを新たな目標に掲げ走り出したと言うことである。

コーチングスクールの歴史

では今でこそ充実したシステマチックな制度だが、こういったシステムができていく過程はどうだったのだろうか?下記は日本のコーチングスクールの変遷史である。

1960年 日本の代表選手初の欧州遠征で、デッドマール・クラマー氏のトレーニングを受ける。10月、クラマー氏初来日。
1969年 7月より3ヶ月にわたって、FIFAコーチングスクールを検見川グラウンド(千葉県)で開催。アジア13カ国から42人(日本人12人)が集まる。
1970年 第1回コーチングスクールを開講。
1971年 「公認リーダー」の養成を開始。
1977年 日本体育協会・公認スポーツ指導者制度(旧制度)創設。日本サッカー協会ではこの制度に準ずる形で「リーダー→コーチ→上級コーチ」の図式を完成。
1987年 文部省が「社会体育指導者の資格付与制度」をスタート
1988年 日本体育協会「社会体育指導者の資格付与制度」創設により、公認スポーツ指導者制度を改革、新制度をスタート。日本サッカー協会ではこの制度に準ずる形で「公認C級コーチ→公認B級コーチ→公認A級コーチ」の図式を完成させる。
1991年 都道府県レベルでの指導者不足や少年・少女への指導を充実させる目的で、独自に「公認準指導員」資格を創設、養成講習会をスタート。
1992年 93年のプロサッカーリーグスタートを控え、プロチーム・選手を対象にした「S級コース」のライセンスを日本サッカー協会独自に創設。
1994年 5年間で公認準指導員を9,000人要請することを目的に「公認準指導員、5カ年計画をスタート。
1996年 S級ライセンス取得者(S級コーチ)のさらなる資質の向上を図るため、筑波大学大学院にJリーグと共同で「寄附講座」を開設。
1997年 サッカー指導者の質・量の確保を目的に、日本サッカー協会独自のライセンス「公認少年・少女サッカー指導員」を創設、養成講習会をスタートさせる。
1998年 インストラクター制度スタート。「公認B級コーチ養成講習会」「公認C級コーチ養成講習会」の講師(インストラクター)の養成を開始。
2000年 「公認少年・少女サッカー養成講習会」「公認準指導員養成講習会」の講師(インストラクター)の養成を開始。

こういった歴史を踏まえ、現在のコーチングスクールが形成されていったのである。
1992年に私が公認C級、現在のB級を受講したときはJリーグ開幕の前年でコーチングスクールの旧態依然とした体系からの脱却の時期であった。現在はJヴィレッジや千葉のエアロビクスセンター、千歳キロロリゾート、宮崎シーガイアなど環境の整った、いわゆるオンとオフの区別のつけやすい環境での講習会が当たり前となっているが、当時は検見川合宿所であった。ちなみに検見川合宿所の説明を少しすると、そこは日本サッカー界のメッカであり、検見川を知らないものはサッカー人ではないとさえ言われた(?)極悪環境で有名なところであった。そもそもそこは千葉の検見川と言うところにある東大の施設であり、ゴルフコースのある広大な敷地でアップダウンのきついそれはもう走る(鍛える?)には打って付けの場所であった。日本代表やユース代表は必ずそこで合宿をしていた。当時はそういった環境に耐えてこそ一人前と言われ、今となれば苦しかったが懐かしい体験だった。なんせボールや用具の運搬当番を決めていたにもかかわらず必ず宿舎を出るときは何かが取り残されており、最年少の私はアップダウンのきつい検見川を何往復もして講習会用の用具を取りに行ったものだった。片道600〜700Mを何往復も・・・。そして今はA級を取得できた・・・。

再研修の必要性

そういった旧態依然とした講習会もやがて田嶋幸三氏の出現により改革されていった。現在行われているカリキュラム、システムの祖にS級講師ゲロ・ビザンツ氏(ドイツ)がいる。ビザンツ氏を招聘しS級指導者を養成するとともにコーチングスクールのカリキュラム作成に力をいれてきた。それから10年近くたった昨今、資格取得者は前出のとおり増加の一方だが、反面資格を取得した指導者の再研修がおろそかになりだした。
日本サッカー協会は資格を取ったら終わりではなく再研修を重ね常に学ぶ姿勢を絶やさないようにとアナウンスしている。資格更新には4年で40ポイントを上げることが義務つけられている。旧指導資格と改革後の指導資格の対比をしてみると

資格更新に必要なポイント
公認S級 公認S級 2年間 40ポイント
公認A級 公認A級 4年間 40ポイント
公認B級 公認A級 4年間 40ポイント
公認C級 公認B級 4年間 40ポイント
地域スポーツ指導員B級 公認C級 4年間 40ポイント
地域スポーツ指導員C級 公認C級 4年間 40ポイント
公認準指導員 公認C級 4年間 40ポイント
公認少年少女サッカー指導員 公認D級 なし

となっている。
日本協会はエメ・ジャケ氏の言葉を借りて啓蒙している。
“学ぶことをやめたら指導することをやめなければならない”・・・と。

神戸の現状は

神戸市サッカー協会では開催してからすでに30年近くはたっているだろう“神戸市指導者講習会初級コース”と“神戸市指導者講習会中級コース”といわれる独自の少年サッカー指導者の講習会が存在する。神戸・兵庫のサッカーを支えてきた先輩たちが独自の視点で本当に初心者のお父さんコーチから少し自分でサッカーの経験のある指導者など様々な環境の指導者を対象に開催してきたのである。数年前より日本サッカー協会主催の少年少女サッカー指導員資格が開催されだすと内容も少しずつ変えていき現在も継続して開催している。受講者も増え充実度は増してきた。

しかしながらこれらの少年少女指導員は日本協会が、初級コース・中級コースは神戸市協会が再研修を義務つけてきたかと言えばそうではない。日本協会が資格の再研修を義務つけるようにしていった状況にもれず神戸市協会内でも十何年も前に初級コースを受講して以来、まったく学ぶことなく独自の感覚のみで現在も指導をしている人がいることは事実であり、それはまた非常に危険なことであると感じてきた。その人が悪いとかよいとか言うのではない。とにかく聞く耳、受け入れる心を持って自分のサッカーを振り返る、外部の情報にヒントを見つけようとする姿勢がなければ子供が不幸である。
そこで、少年少女指導員、現在で言う公認D級と初級コース、中級コースの再研修を2年に1回は受けるように義務つける決議がこのたび神戸市サッカー協会4種委員会総会にてなされ、実施されることになった。

初級・中級コースと再研修会の複数開催

しかし、神戸市サッカー協会4種委員会のみでこの事業を展開することは難しい。そこで市協会技術委員会がタイアップしてこの事業を推し進めることになった。

まず、初級コース・中級コースがそれぞれ年1回ずつの開催であったのを上半期1回、下半期1回に増やし、同時に市内東西南北4地区にて各1回ずつを加え合計初級コース6回・中級コース6回を開催することとした。これはまず新規受講者の拡大を目指し広くサッカー指導者の増大を願ってのことである。

そして、日本サッカー協会公認S、A、B、C級コーチならびに2003年度初級コース修了者をのぞき初級コースを過去受講した指導者を対象に再研修(リフレッシュ講習会)を行うこととした。規定としては

☆リフレッシュ講習会を2年間で4単位以上を受講しなければならない。単位数は下記の通り。
(1)トレセン指導者研修会参加2時間(実技見学のみ) …1単位
(2)選抜練習会実技と講義参加4時間(実技見学と講義)…2単位
(3)神戸市サッカー協会公認リフレッシュ講習会参加2時間につき1単位
例)2004年度に初級コースに合格した者は合格した日から2007年3月31日まで資格が
有効となる。この間に4単位以上のリフレッシュ講習会を受講すれば2007年4月1日から2009年3月31日までの資格が有効となる。

を制定した。

再研修(リフレッシュ講習会)をもう少し具体的にすると
(1):土日コース …1単位   神戸市選抜練習会(毎月第2・4土曜日・小野浜球技場)の練習見学のみ
(2):土日コース …2単位   神戸市選抜練習会見学と講義をセット
(3):平日コース�…1単位   毎月第2金曜日19:00三宮磯上球技場で開催する神戸FAコーチングスクール(旧トレセンスタッフコーチングスクール)への参加
平日コース�…2単位   市内東西南北4地区にて1回ずつ開催を企画

を考えており、いずれかの研修に参加することで必要単位を取得し更新してもらうと言うことである。実際に多数開催は大変な事業である。しかしこうやって多数開催し、神戸の少年少女サッカーの指導者を増やし、勉強する機会を提供することが子供たちの幸せなサッカーライフにつながるのであれば言うことない。

一方でこういった事業を展開するためにはインストラクターとなる講師陣を充実させなければならない。そこで技術委員長任命として21名のインストラクターを養成することとした。基本としては新公認資格で言えばB級以上を基本として数名のC級を交えて編成した。それらのインストラクターの教育とベクトル合わせを行うために下記のような規定を策定した。

☆神戸市サッカー協会少年少女指導者公認インストラクター
(イ) 初級コース、リフレッシュ講習会を開催するインストラクターを養成する。
(ウ) インストラクターは6月5日、6日に開催されるインストラクター研修会を受講しなければならない。
(エ) インストラクターの任期は1年とする。
(オ) インストラクターは日本サッカー協会公認S、A、B、C級コーチ資格を有する者が行う。

とし各講習会・再研修会へインストラクターが赴き開催するように計画している。実際にインストラクターの方々に支払う謝礼がない。できれば研修に際しては参加費を徴収して必要経費を計上していきたいと考えている。何かとお金がいることばかりでサッカー界は何を考えている?お金を取りすぎだ!という意見もあろう。しかし物事の充実には経費が必要である。これはすべて子供のためと理解をいただきたい。

技術委員長として感じたこと

2004年度から技術委員長に就任することになったのだが、さて何をどうやって神戸のサッカーを、ひいては兵庫県のサッカーのレベル向上に寄与できるか考えたまず一つ目がこういった事業である。私一人ですべてをやってきたわけではないのでお間違え無い様にしていただきたいのだが、まずはこうやって4種委員会が再研修の必要性を感じ動き出し、動いたことに敬意を表したい。インストラクターに就任していただく方々も快く引き受けていただき感謝している。5月14日(金)に2004年度第1回神戸FAコーチングスクールを開催した。77名の参加を頂き、過去最高参加者数だった。先般のスクールを経て感じた。インストラクターだの技術委員長だのと言っても結局は我々も指導者の皆さんに育てていただいているのであると言う思いがした。そういった77名もの指導者の前でしっかり話をさせていただく機会はそうそうないのであるから。やはり日々勉強である。私も偉そうにいろいろ話をしているが本当に皆のためになっている・・・?

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